「SLIDで第2次電子立国を目指す」と意気込みを語るAOTの井上克己社長=東京都千代田区【拡大】
IoT(モノのインターネット)社会やビッグデータ解析、人工知能(AI)の活用が進む社会では、コンピューターの心臓部であるCPU(中央演算処理装置)に大きな負担をかける。検索や照合、認識などの情報処理は、CPUがメモリーから情報を抽出する時間も長くなる。ITベンチャーのエイ・オー・テクノロジーズ(AOT、井上克己社長)と電気通信大学の範公可准教授が開発した、メモリー型プロセッサーによる情報検出技術「SLID(Search-Less Information Detection=スリッド)」はこうした課題を解決し、近未来の社会に大きな革新をもたらしそうだ。
SLID技術は、CPUが苦手な情報検出をメモリー内で処理させるという発想に基づく。メモリー型プロセッサーにはデータベース(DB)内の検索が得意な「DBP」と、立体空間データ認識が得意な「SOP」の2種類がある。ともに一般の半導体メモリーに数万~数百万個のグループアレイプロセッサー(GAP)を組み込み、超並列データ処理(一括処理)を可能にした。DBPやSOPは、自らに記憶された大量の情報から必要なデータを100万分の数秒間に超高速で探しだす。
この技術は米国電子電気学会(IEEE)や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)など国内外の技術審査機関から高い評価を受け、すでに他社にも採用されている。