プリウスは「もう特別なクルマじゃない」 豊田章男社長が語るエコカー新戦略 (4/5ページ)

トヨタ自動車が今冬の発売を予定する新型「プリウスPHV」(左)と、ハイブリッド車「プリウス」
トヨタ自動車が今冬の発売を予定する新型「プリウスPHV」(左)と、ハイブリッド車「プリウス」【拡大】

 顧客調査で不評だった点はもう1つある。それは「プリウスとの差別化が十分でない」という声だ。プリウスPHVは普通のプリウスに比べ、旧モデルで50万円弱の価格差があった。これは補助金分を補正した上での実売価格の差額だ。プリウスよりも50万円高いにも関わらず、見た目ではほとんど判別が付かなかった。しかし顧客は「価格差なりの差別化をしてほしい」と求めたのである。

 新型プリウスPHVの価格はまだ発表になっていないが、おそらく新型プリウスと比べて同程度の価格差はあると思われる。そこでトヨタは、今回はひと目で分かるようにプリウスPHVのデザインを変えた。フロントにはプリウスの異形ランプとは異なり片側4連のLEDランプを組み込み、エコカーのフラッグシップであるMIRAIとの共通性を高めている。こうした差別化によって、プリウスPHVの位置づけをはっきりさせた。

 社内カー・オブ・ザ・イヤー

 豊田社長は以前から「いいクルマを作ろうよ」と折に触れて語っている。個人向け乗用車、商用車を含めさまざまなクルマをフルラインナップで製造・販売しているトヨタにとって、いいクルマというのは1つではないはずだという思想は、前編で述べた7カンパニー制の話にもつながる。

「今年のスターを1台だけ選ぶことには、あまり意味はないんです」