顧客調査で不評だった点はもう1つある。それは「プリウスとの差別化が十分でない」という声だ。プリウスPHVは普通のプリウスに比べ、旧モデルで50万円弱の価格差があった。これは補助金分を補正した上での実売価格の差額だ。プリウスよりも50万円高いにも関わらず、見た目ではほとんど判別が付かなかった。しかし顧客は「価格差なりの差別化をしてほしい」と求めたのである。
新型プリウスPHVの価格はまだ発表になっていないが、おそらく新型プリウスと比べて同程度の価格差はあると思われる。そこでトヨタは、今回はひと目で分かるようにプリウスPHVのデザインを変えた。フロントにはプリウスの異形ランプとは異なり片側4連のLEDランプを組み込み、エコカーのフラッグシップであるMIRAIとの共通性を高めている。こうした差別化によって、プリウスPHVの位置づけをはっきりさせた。
社内カー・オブ・ザ・イヤー
豊田社長は以前から「いいクルマを作ろうよ」と折に触れて語っている。個人向け乗用車、商用車を含めさまざまなクルマをフルラインナップで製造・販売しているトヨタにとって、いいクルマというのは1つではないはずだという思想は、前編で述べた7カンパニー制の話にもつながる。