海外規制が後押し
リコーの環境経営ビジョンでは、製品のライフサイクル全体で環境負荷を減らすことを目標としており、中長期環境負荷削減目標で複数の数値目標を設定した。中でも、省資源・リサイクルに関しては、新規投入資源量を2007年度比で20年までに25%、50年までに87.5%削減するとの目標を掲げる。これまで、回収自社製品にメンテナンスを施し、「再生機(リコンディショニング機)」と明示したリユース機の販売を09年に開始。また、自社製品由来のプラ再生材の活用に加え、12年には金属部材に100%鉄スクラップを原料とした電炉鋼板を採用した複合機も開発した。同室の徳植義人副室長は「複合機の小型軽量化で新規投入資源量削減を進めてきたが、やり尽くした感はある。今回のマテリアルリサイクルが目標達成の一押しになる」とし、搭載機種を増やす方針だ。また、今回の市販回収材由来のプラ部材の再利用に向けた検討に入ったほか、プラ部材の油化技術も基礎研究を開始したという。
プラ回収材利用を後押しするのは、各国の環境規制だ。米国は13年導入の「EPEAT(イーピート)」で回収材5グラム以上の使用を必須とし、ドイツの「ブルーエンジェル」は筐体(きょうたい)プラ重量に対する回収材比率で5%以上を求めるとした。スウェーデンは15年2月、入札条件で、製品重量に対するプラ回収材比率を2%以上と定めた。複合機は総重量の2、3割がプラ系素材で、規制当局の動きは今回の取り組みの後押しとなりそうだ。(日野稚子)