こうした異なる用途に使われていたプラスチックを原料とするには、難燃性や耐久性などを高める必要がある。このため、化学メーカーの新日鉄住金化学と共同でプラスチックの性質を変える「改質」の検討を実施し、石油由来の新品のプラスチック素材(バージン材)と同等の耐久性や難燃性を持たせた。リコーは回収した自社製品から出たプラスチック部材を再生し、自社製品に活用する独自リサイクルを90年代から実施している。再生材に対する知見が蓄積していたことで、改質検討は数年でできたという。
改質した市販回収材は、複合機の中でもプラスチック使用量の占める割合が高い給紙トレーと機内の内装カバーに用いた。自社製品由来の再生プラスチックでの再生材利用率は給紙トレーで2、3割程度にとどまっていたが、今回はその使用率を50%にまで引き上げられた。この結果、搭載機のプラ総重量に対する使用率はMP9003spで6.2%、MP6503spとMP7503spの2機種が6.3%となった。原油安でバージン材が割安になっていることもあって調達コストは市販回収材の方が若干高くなるが、「現状の価格差であれば企業努力で吸収できる」(原田氏)という。