シャープに続く“被買収予備軍”多数…IoTで「モノづくり」再構築急げ (2/3ページ)

 政府系研究所の幹部は「中国や台湾のEMSは“製造力”を徹底的に磨いて経験値を上げ、技術力とコスト競争力を高めてきた」ことで、米アップルなど世界的企業の多くを顧客に抱え、巨額投資を早期に回収できるエコシステムを構築したと分析する。売上高16兆円を超える鴻海はその代表だ。日本の国策スーパーコンピューター「ポスト京(けい)」計画で、心臓部である中央演算処理装置(CPU)の開発を担っているのも台湾の電子機器EMSだ。

 日本の電機メーカーの多くはいま、一般消費者向け市場に一定の距離を置きつつある。かつて国内のパソコン市場の過半を占めたNECは、パソコンの開発をレノボに任せ、スマートフォンからは撤退した。富士通は企業向け販売に絞ることでパソコン事業を立て直した。

 消費者市場にこだわるソニーも、スマホでは低価格化が進むグローバル市場に背を向け、「高機能製品に絞り込むことで収益改善を実現」(平井一夫社長)し、今年度は黒字転換を見込む。

日本の製造業がIoTが生み出す新たな価値をものにできるかどうか