東芝は27日、64層の3次元メモリー半導体「NAND型フラッシュメモリー」のサンプル出荷を世界で初めて開始したと発表した。これまで48層で容量256ギガビット品を生産してきたが、64層の製造技術を実用化した。2017年前半に容量256ギガビットで量産出荷を開始する予定で、将来的には512ギガビットの製品化も計画している。
スマートフォンなどで使われるフラッシュメモリーは素子を積層し、容量を増やす3次元の製造技術が主流となりつつある。
東芝は64層の新製品で回路技術や製造過程を最適化し、チップサイズを小型化した。これにより、48層タイプよりも単位面積あたりの容量を約1・4倍まで拡大した。新製品はデータセンターやパソコンで使われる記憶装置「ソリット・ステート・ドライブ(SSD)」向けやスマートフォンやタブレット端末向けに販売展開する。
フラッシュメモリー市場は、これまで回路の微細化で容量を増やす技術で製造してきた。微細化が限界に達し、韓国のサムスン電子や米マイクロン・テクノロジーなども3次元による量産技術の開発を積極的に行っている。
東芝も3次元の生産比率を17年度に全体の5割、18年度に8割以上に引き上げる計画。来年度には四日市工場(三重県四日市市)に新棟を建設し、3次元の生産を加速させる方針だ。