企業年金の国債離れが一段と加速しそうだ。日銀のマイナス金利政策で市場金利が低下する中、英国のEU離脱決定を受け、国債利回りのさらなる低下が進んでいるためだ。企業年金の運用難はしばらく続くとの見方が強まっている。
JPモルガン・アセット・マネジメント(AM)が27日に発表した調査によると、平成27年度末の企業年金の資産運用に占める国債の比率は20年度の調査開始以来、初めて3割を割り込んだ。
調査は日銀のマイナス金利政策導入後の3月上旬~5月上旬に行われ、確定給付型を中心に127の企業年金が協力した。
それによると、27年度末の国債投資比率は前年度比0.4ポイント減の29.9%。代わりに増えているのはインフラや不動産、保険関連の「代替投資」で、1.2ポイント増の14.0%だった。
マイナス金利政策に伴う運用環境の変化について尋ねたところ「変化した(する)」との回答は約8割を占めた。
さらに先週の英国のEU離脱決定を受け、国債利回りは一段と低下している。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは、24日に過去最低のマイナス0.215%を付けた。
JPモルガンAMの国京彬氏は「年金基金は市場の急変動に対する問題意識が高い。米国の利上げなどと同じように、英国のEU離脱をリスクの一つとして気にしている」と話している。