英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決まり、急激な円高と株安が進行していることを受け、財務省と金融庁、日銀は25日、幹部会合を開き、対応を協議した。円高阻止の円売りドル買い介入に踏み切るかどうかが最大の焦点だ。ただ、日本単独の介入では効果が期待できないうえ、先進7カ国(G7)による協調介入も、足並みがそろわず実現は困難だ。日銀の追加金融緩和策も切れるカードは乏しい。日本経済に大きな打撃となる円高株安を阻止する有効な手立ては見当たらないのが実情だ。
「月曜日、東京(市場)から始まっていろいろな動きがあるだろうから、それに備えて情報を共有した。万全の対応をとる」
幹部会合を終えた財務省の浅川雅嗣財務官は記者団にこう強調した。
政府・日銀が最も神経をとがらせているのが円相場の動向。急激な円高は企業業績の悪化や株安を引き起こし、景気を悪化させる。麻生太郎財務相は24日夜の会見で「必要に応じて対応を行っていく」と、為替介入も辞さない可能性を示唆した。
ただ、一時1ドル=99円を付け一気に8円近くも円高が進んだ24日のように、大量に円が買われている状況で、日本が単独で小規模な円売り介入を行っても、投機筋に円買いを浴びせられればとても歯が立たない。単独でも相手国の米国の意向は無視できず、了解が得られないと、市場に足元を見透かされるだけだ。
野村証券の池田雄之輔氏は「1ドル=96~100円レンジでは、単独介入の可能性はかなり低い」と指摘する。