協調介入のハードルはさらに高い。東日本大震災直後の平成23年3月に円高が進んだ際にはG7が円売りの協調介入で合意したが、今回の当事者は英国とEU。ポンドやユーロ防衛の協調ならあり得るが、輸出にプラスとなる通貨安は英国やEUにはむしろ好都合だ。円高で困っている日本だけのために協調介入を行うことは想定できない。
そもそも、米国は「競争的な通貨切り下げを避けることが重要だ」(オバマ大統領)と介入に否定的な姿勢を崩していない。
一方、日銀の次回の金融政策決定会合は7月28~29日に開かれる。追加金融緩和策としては(1)マイナス金利幅の拡大(2)国債の買い増し(3)上場投資信託(ETF)の買い入れ枠増額-などが取り沙汰されている。ただ、英国発の危機に日銀が追加緩和で対抗しても、投資家心理を改善させるのは容易ではない。そもそも副作用が大きく評判の良くないマイナス金利を拡大しても円高に歯止めが掛かるか不透明だ。
「これから何が起こるか分からない」(財務省幹部)という状況にもかかわらず、政府・日銀の手詰まり感が強まっている。