様子見の動きは、銀行窓口で取り扱う外貨預金や貯蓄性の高い一時払い保険などにも広がっている。
外貨建ての一時払い保険は、豪ドル建て、米ドル建てなどが人気を博してきたが、円高の進行で販売が低迷。「英国のEU離脱問題による相場の乱高下を嫌い、顧客が加入を躊躇(ちゅうちょ)する動きが強まっている」(生命保険大手)。
一方で、行き場に困った個人の投資マネーの一部は金や「マイナス金利の恩恵を受ける不動産投資信託に向かっている」(三井住友信託銀行)という。
三菱UFJ信託銀行が取り扱う現物の金を裏付けにしたETF「金の果実」の純資産残高は今月21日時点で447億円と、昨年末の405億円から1割増加した。
同行が開くセミナーには、運用に悩む個人投資家が殺到。「不安定な相場環境で安全資産としての金に注目している」や「分散投資の一つとして金を検討している」といった声が聞かれるという。
こうした中、産業界からもEU離脱を懸念する声が強まっている。
日立製作所の北山隆一副社長は22日の株主総会で「残留してほしいと強く願っている。離脱となれば影響は大きい」と改めて反対姿勢を表明した。