ソフトバンクは、高速通信規格「LTE-Advanced」に対応した衛星通信システムの試作システムを開発した。衛星をLTEの中継局にできるというシステムで、将来的にはユーザーが普段使う携帯電話が直接、衛星と通信できることを目指す。
◆静止衛星を中継局
9日に報道関係者向け説明会が開催され、技術の仕組みが紹介された。現在は衛星を利用できないことから、衛星を使った場合と同じ遅延が発生するような仕掛けを用いつつ、気球型の中継局を衛星に見立てて、システムがどのように動くか、デモンストレーションが行われた。
今回のシステムは、通信対応の静止衛星をLTE-Advanced対応の中継局にして、国内のどこでも通信サービスを利用できるようにするというもの。通信プロトコルは従来のLTEそのままとのこと。地上にある衛星基地局(バックボーンにつながる設備)→衛星→地上の携帯電話という流れになる。同社では「LTEはソフトウェアのアップデートでスペックを向上できる」として、衛星は変更せずとも速度をアップできる仕組みとアピール。VoLTEなどもそのまま使えるという。
東日本大震災で、広範囲にわたってネットワークが利用できなくなったことをきっかけに開発が進められてきたシステムで、災害で圏外になるエリアでも、スピーディーに復旧できるという。