楽天が各種サービスを割引で使える新クレジットカードの発行を検討していることが6日、分かった。楽天は金融部門を成長の柱に位置付けており、新カードの発行で平成32年までに2千万人と定めているカード利用者目標の達成に弾みをつけたい考えだ。他のインターネットや携帯電話の事業者も、さまざまな自社サービスとポイントを提供する独自の「経済圏」を構築して顧客の囲い込みを図っている。(大坪玲央)
楽天はこれまで、自社のクレジットカードを使うと、ネット通販や格安スマートフォンなどのサービスで通常より多くのポイントを獲得できるサービスを行ってきた。
今後は、楽天トラベルの旅行商品の宿泊費を割引するなど、ポイントではない別の特典が受けられる新クレジットカードの発行に向けて構想を進めている。楽天カードの穂坂雅之社長は「ポイント特典だけだと限界がある。旅行商品の割引や旅行傷害保険などをイメージしている」と語る。また、全日空のマイレージがたまる提携クレジットカードのように、他業種との提携カードの発行も視野に入れる。
携帯電話事業者は、総務省が他の携帯会社からの乗り換え客向けの大幅な割引を規制したことやスマートフォンの加入者が頭打ちになっていることもあり、保険や電力など各種サービスや商品をまとめて割引で利用できるポイント戦略にかじを切り始めた。
KDDIの田中孝司社長は、31年3月期までに携帯電話事業以外の取引額を現在の3倍の2兆円まで増やす構想を表明。「できるだけ画一的にならないように努力していきたい」と述べ、携帯電話ショップを使った各種サービス提供で他の携帯事業者との差別化を進める考えを示す。