日本百貨店協会が20日発表した4月の訪日客の免税総売上高は、前年同月比9.3%減の179億9000万円で2013年1月以来3年3カ月ぶりのマイナスとなった。4月8日に中国政府が海外で買った商品に課す関税を引き上げたことなどが響いた。購買客数は7.8%増の26万人だったが、客単価が15.9%減の6万8000円と落ち込んだ。
近内哲也専務理事は会見で「訪日客の爆買いは少なくなっており、買い物から観光などにシフトしている」と述べた。化粧品や日用品など消耗品の売り上げは堅調だが、腕時計や宝飾品といった高額品の売り上げが減少しており、「客単価は足元の5月も前年同月比30%程度下がっている」(近内氏)。
国・地域別の免税手続き額は中国が圧倒的に多く、“爆買い”の沈静化に伴って、今後も訪日客の消費は減少傾向が続きそうだ。
同時に発表された16年4月の全国百貨店売上高(既存店ベース)は前年同月比3.8%減の4536億円で2カ月連続で前年実績を下回った。訪日客の消費が減少したほか、円高の進行や株価の低迷、中旬に発生した熊本地震に伴う消費者心理の冷え込みが響いた。