新築マンションの売れ行きが低調な一方、価格は高騰を続けるという一見、奇妙な現象が全国規模で起きている。景気停滞で消費者は慎重だが、事業者は人件費などの上昇で値下げが難しく、全国の平均販売価格はバブル期を超えた。消費税増税の行方も不透明で、中低所得層にとって新築マンションは「高根の花」になりつつある。
首都圏平均5638万円
「今は価格が高すぎる」。東京都在住の30代男性は、マンション購入を諦めた。2020年の東京五輪を控えて建設コストが高止まりし、都内のマンション価格も急上昇している。男性は「五輪後の値下がりを期待する」と長期戦の構えだ。
不動産経済研究所が今年2月に発表した15年の全国マンション発売戸数は7万8089戸で23年ぶりの低水準だったが、平均価格は過去最高の4618万円となった。
14日に発表した3月の首都圏の発売戸数も急減、契約率が低下し売れ行きも落ちていることを裏付けた。一方で平均価格は5638万円に達した。