熊本地震の被災地で食糧など支援物資が行き渡らない状況を解消するため、企業が動き出している。大手牛丼チェーンなどは現地で炊き出しを実施。紙おむつなど生活必需品の提供も相次ぐ。ただ、道路網の寸断に加え集積所での物資の滞留で物流が混乱しており、必要なものを機動的に届けるべく試行錯誤が続く。
「温かいご飯だ。おいしい」。19日、吉野家を展開する吉野家ホールディングスが熊本県西原村の避難所で炊き出しを行うと、被災者から歓声が上がった。プロパンガスや発電機を積んだキッチンカーで牛丼約1000食を提供。現地の状況を見つつ来週以降も続ける。
「カレーハウスCoCo壱番屋」を運営する壱番屋も19日、移動販売車の台数を前日までの1台から4台に増やし、避難所などでカレーライスを提供した。
ライフラインの復旧に時間がかかる中、飲食業者を特に悩ませるのが断水だという。すき家のゼンショーホールディングスは避難所の炊き出しや店舗の復旧のため、関西の工場などで容器に詰めた水を既に計2万2800リットル運んだ。「東日本大震災を教訓に整備した災害復旧体制が今回役立った」(担当者)という。