経営再建中のシャープが手元の資金確保に躍起だ。高橋興三社長は10月末の社内メッセージで、キャッシュを守りつつ収益を上げることを求め、「時には収益よりキャッシュを優先するくらいの気持ちで…」とまで言い切った。本社などでエレベーターを間引き運転したり、新聞・雑誌の購読を停止したりと、“爪に火を灯す節約”が実行されているという。同社は「資金ショートなどの状況ではない」と説明するが、社長の異例の呼びかけから今の苦境が浮き彫りになる。
相次ぐメッセージ
「事業活動の前提となるキャッシュについても、しっかりと確保していく必要がある」
10月30日、高橋社長は社内に「この危機を乗り越える」と題して発出したメッセージでこう呼びかけた。
平成27年9月中間連結決算の発表に合わせたメッセージで、営業損益が251億円の赤字(前年同期は292億円の黒字)に落ち込んだことから「10月1日から社内カンパニー制の下で新たな一歩を踏み出したところで非常に厳しい結果。大変厳しく受け止め、悔しい気持ちでいっぱい」と語った。