東証1部上場の中堅海運会社、第一中央汽船は29日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、即日受理されたと発表した。負債総額は約1196億円。中国の景気減速などを背景に、海運市況が低迷。経費削減などを進めたが、業績の悪化に歯止めがかからず自力再建を断念した。
調査会社の帝国データバンクによると、負債総額は今年の倒産案件で最大。海運業者としては、過去2番目の大型倒産となる。東京証券取引所で会見した薬師寺正和社長は、「悪化する海運市況を読み切れなかった」と述べ、再生計画に道筋がついた段階で辞任する意向を表明した。
第一中央汽船は、石炭や鉄鉱石をばら積み船で運ぶ事業が主力だが、リーマン・ショック以降、市場価格の低迷に加え、好況時に高値で契約した船舶の使用料が経営を圧迫した。一時はコスト削減や船舶数の絞り込みなどで収益が改善、再投資に踏み切ったが、中国の景気減速などで市況低迷が長期化し、業績好転が見込めなくなった。
東証は第一中央汽船の再生法適用申請を受け、上場している同社株を10月30日に上場廃止にすると発表した。