トヨタ自動車グループの労働組合でつくる全トヨタ労働組合連合会(315組合、33万5000人)の佐々木龍也会長は11日、定期大会前に仙台市内で記者会見し、2016年春闘に向け「経済状況や企業収益、労働の質向上などを総合的に判断して賃金引き上げを考えていく」と述べ、足元の世界経済の下振れリスクなどを慎重に見極める姿勢を示した。
15年春闘は2年連続でベースアップ(ベア)を統一要求し、要求額として賃金改善分で「月額6000円以上」も掲げた。佐々木会長は「(ベアは)経済を好循環させ、消費を活性化させる要素の一つだ」と重要性を改めて指摘した。
だが、「中国や世界経済の下振れリスクがあるし、消費税増税後に落ち込んだ自動車市場も回復していない」と懸念材料を挙げ、16年春闘は「今後の環境を踏まえて議論していく」と述べるにとどめた。
また佐々木会長は「今年は要求額の統一で(グループ内の賃金)格差を広げないという思いだったが、結果的に広がった」と語り、16年春闘では格差是正に取り組む方針も強調した。