トヨタ自動車が新たな再雇用制度を2016年1月に導入することで労働組合と合意したことが9日、分かった。65歳まで定年前と同水準の待遇を維持する。シニア人材の活用によって技術を円滑に継承するのが狙いで、工場で働く社員約4万人が対象となる。
同社の再雇用制度「スキルド・パートナー」に、一定の条件を満たせば現役時代と同水準の待遇で働き続けられるコースを設ける。現在は再雇用だと賃金などは現役時代より下がるが、職位手当なども維持し、定年退職者の約7割にとどまっている再雇用者の割合を高める。
トヨタは300万台の国内生産を維持する考えだが、団塊世代の大量退職や少子高齢化の影響で人材確保が課題になっている。工場の従業員数が国内最大規模クラスのトヨタがシニア人材の一層の活用を進めることで、再雇用をめぐる産業界の議論に影響を与えそうだ。