ペットボトルでガラス瓶並みの高級感 新素材、極めて高い外気の遮断性能 (3/4ページ)

2015.8.10 07:00

ハイバリアPETの容器が採用されたメルシャンのワイン。軽くて持ち運びやすいと人気がある

ハイバリアPETの容器が採用されたメルシャンのワイン。軽くて持ち運びやすいと人気がある【拡大】

  • ハイバリアPET(左)とガラス瓶。外観はほとんど見分けがつかない

 研究レベルなら10回に9回成功すれば十分だが、実用化となると1000万本に1本の失敗すら許されない。プラズマを発生させる電極の形を工夫するなどした結果、2年後には完成にこぎつけたものの、むしろここからが苦労の始まりだった。

 開発したボトルはすぐに「焼き肉のたれ」の容器に採用された。だが、酒にはなかなか採用されなかった。

 「バリア性が高いだけでは駄目で、いかにガラス瓶そっくりの見た目にできるかが重要だとそのとき初めて悟った」(鮫島氏)

 再び前進し始めたのは、2009年にキリンビール、メルシャンと、新たなワイン用ボトルの開発に乗り出してからだ。酒用といっても、赤ワインと白ワインですら酸素吸収量は違い、求められるボトルのタイプも異なる。試作品は膨大な量に上った。ワインボトルらしい、凹凸のないシンプルな形にするのが目標だったが、強度を高めるリブ(くぼみ)がなく、形が崩れやすく、困難を極めた。

 瓶そっくりの形

 開発が進まず、社内の風当たりが強まった時期もあったが、2年近くかかって「粘り勝ち」(鮫島氏)で出来上がったボトルは、清涼飲料向けなどの一般的なボトルに比べ酸素で約10倍、炭酸ガスで約7倍、水蒸気で約5倍のバリア性を実現。試行錯誤の上、簡素な形状と高い強度の両立にも成功した。

メルシャンは10年8月発売のワインで初めてこのボトルを採用

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