日本で起業する外国人が増えている。言葉の壁にとどまらず、環境整備の遅れから、日本は「起業のしやすさ」に関する国際的な評価は高くないものの、市場の大きさやオフィス環境の良さなど優位に立つ点も少なくない。少子高齢化や女性の登用の遅れといった社会的な課題の解決や、日本文化の伝道師を志す人など起業を目指す外国人はさまざまだ。政府も「起業人材」を取り込むことで経済成長や技術革新の促進、雇用の受け皿拡大につなげることを狙い、在留資格の取得要件を緩和し、人材獲得に乗り出し始めた。
女性支援や文化発信
7月初め、東京・恵比寿のシェアオフィス「オープンネットワークラボ」で、マミーケアのジャスティン・クルーン最高経営責任者(CEO)は覚え始めたばかりという、たどたどしい日本語でスタッフに指示を飛ばしていた。
米カリフォルニア州出身のクルーン氏は、3年半前に東大留学のため来日した。もともとは起業する考えはなかったものの、日本社会の現状を知るにつれて「働く女性を助け、だんらんの場を提供したい」との思いが募り、昨年11月に同社を設立。創業支援会社が運営するシェアオフィスに本社を置いた。