ただ液晶パネルのラインを利益率の高いスマートフォン向けに改造し14年3月期には黒字転換、業績は一時的に回復。太陽電池も国の固定価格買い取り制度が後押しした。さらに高橋興三社長の「液晶一本足ではなく収益の柱となる“足”が何本か必要」との信念が事業整理の足かせとなった。
だが14年下期から液晶は中国市場で価格競争が激化。競合他社の躍進もあり、利益は想定ほど伸びなかった。太陽電池は中国勢の躍進で苦戦を強いられ、白物家電は営業黒字を確保するものの、円安によって採算が悪化した。事業を整理する場合、15年3月期の最終赤字は1000億円規模に達する見通しで、2月に業績予想を発表した時点の300億円と大きく乖離(かいり)する。
一方、シャープと同様に12年3月期から2期連続で巨額赤字を計上したパナソニックは、津賀一宏社長がBtoB(企業間取引)シフトを打ち出し、プラズマテレビや個人向けスマホなどから相次いで撤退。成長が見込める自動車や住宅関連分野に注力して業績を回復させた。シャープの歩みとは対照的だ。