東京電力の数土文夫会長は5日、東京都千代田区の本店会議室で社員に向けた年頭の訓示を行った。平成28年の電力小売り全面自由化が迫る中、「競争に備える1年だ。新しい価値の継続的創造に取り組まねばならない」と叱咤激励した。
数土会長は、電気料金の再値上げを今後1年間見送ると決めた経緯について、「これ以上の値上げをすれば、日本の競争力が失われるだけでなく、東電自らも競合他社に負けてしまう」と説明。火力発電分野での中部電力との包括提携について「業界全体の変革につなげてほしい」と期待を寄せた。
一方、福島復興本社(福島県楢葉町)では広瀬直己社長と石崎芳行代表が約40人を前に訓示を行い、モニターを通じて本店の出席者も緊張した面持ちで聞き入っていた。
広瀬社長は、福島第1原発事故で失った社会的信頼を「元に戻すのも大事だが、ピンチをチャンスに高めないといけない」と指摘。工事の繰り延べによるコスト削減努力などで27年3月期決算で2年連続の黒字を達成する見通しとなったことにふれながら、「黒字基調を持続的にしたい」と述べた。