薄型テレビやパソコン、スマートフォンなど、かつての中核事業が次々と不振に陥り、構造改革の対象になったソニー。好調なゲーム事業は、売上高で同社最大の事業になる見通しで、“復活”に向けた牽引(けんいん)役の期待がかかる。
初代プレイステーション(PS)が平成6年に登場してから、今月で20周年を迎えた。最新モデルのPS4は昨年11月から順次発売され、世界販売台数は今年8月に過去最速で1千万台を突破。9月末までに1350万台を売った。競合する任天堂の「Wii U(ウィー・ユー)」とマイクロソフトの「Xbox One」に対し、「PS4が世界で独走している」(アナリスト)状況だ。
PS4は、他の利用者とオンラインで対戦や協力して楽しむ遊び方に課金する方式を採用し、ゲーム機やソフトを売り切る従来のビジネスモデルから転換。米国ではPSのネットインフラを使った新しいゲーム配信やテレビ視聴サービスも始めた。ゲーム事業トップのアンドリュー・ハウス氏は「コアなゲームファンに訴求してきたが、今後は家族など広範なユーザーを取り込んでいく」と話す。
ソニーが11月発表した29年度のゲーム事業の売上高目標は1兆4千億~1兆6千億円で、26年度見通し比の増収率は最大24%。営業利益率もほぼ倍増の5~6%を目指している。26年度見通しで売上高が最大だったスマホ事業は利益率悪化のため縮小均衡の方向で、ゲーム事業の役割は大きい。(高橋寛次)