利益減少の直接的な要因は半導体製造事業をカリフォルニア州の半導体受託製造会社のグローバルファウンドリーズ(GF)に引き渡す契約だ。IBMは不採算部門を引き取ってもらうため、3年間で15億ドルを支払うことに合意し、7~9月期決算で税引き前費用として47億ドルを計上した。IBMはこれらの費用がなければ最終利益は37億ドルは確保できていたとする。
ただし投資家がIBMに投げかける視線は冷たい。というのもIBMがかねてから噂されてきた半導体製造事業からの撤退に踏み切った背景には「IBMのメーカーとしての競争力がますます落ちてきている」(アナリスト)という現実があるからだ。
投資家の冷たい視線
かつて半導体産業のリーダーだったIBMはすでに生産量で米インテルや韓国サムスン電子、米クアルコムなどのトップ企業に大きく水をあけられている。過去に蓄えた特許や優秀な開発陣をよりどころにして、高性能製品に活路を見いだそうとしてきたが、成果を残せなかった。マーティン・シュローター最高財務責任者(CFO)は「半導体事業は大規模な投資が必要で、規模で劣っている状態では非常に困難だった」と認める。