ただこれだけで模倣品を完全に取り除くのは不可能。デフレが続き消費者の価格志向が高まり、純正品でなくても安ければ構わないと考える消費者が多かったからだ
そこで花王はもっと消費者ニーズを吸い上げて、商品のラインアップを強化する戦術に出た。まず最初に乗り出したのは掃除用具の改良。4本の棒をねじで接合して組み立てる方式だったが、そのねじが緩むと曲がってしまうこともあったため、棒の端部同士をはめる方式に替えた。
さらに11年にはヘッドの構造も一新。平面だった裏面の形状を凹凸にしたうえで、新開発の「クッションヘッド」を採用。床面にしっかりとフィットさせることで、シートの全面でほこりや髪の毛をたっぷり集め取るようにした。さらに、取っ手の部分には、壁に掛けても倒れにくいラバーキャップを付けた。
一方、さまざまなニーズに応えられるよう、シートの種類を増やしている。当初はドライシートだけだったが、00年にはウエットシートが登場。さらに05年に捕集力をアップさせた立体吸着ウエットシートを投入。12年には香り付きのシートもお目見えした。
一連の商品力強化策が奏功し、00年ごろから09年にかけて、クイックルワイパーの売上高は前年実績を下回っていたが、10年以降は上回り続けている。付加価値の高いもの、消費者が欲しいと思ってもらえるものを開発して市場に出した結果が実を結んでいる。