【開発物語】花王「クイックルワイパー」 (1/7ページ)

2014.10.20 05:00

店頭に並ぶクイックルワイパー

店頭に並ぶクイックルワイパー【拡大】

  • クイックルワイパーの開発やマーケティングの担当者=東京都中央区の花王本社
  • 今秋から放映されているクイックルワイパーのテレビCM(花王提供)
  • 20年前に発売した当時のクイックルワイパー。柄の部分は組み立て式だった(花王提供)

 ■主婦の発想が商品化のヒントに

 ≪STORY≫

 10月に発売20周年を迎えた花王の掃除用具「クイックルワイパー」。掃除の中でも、床の雑巾がけは腰痛の人や妊婦にとってつらいもの。軽くて、ほこりや髪の毛などを簡単に取れるクイックルワイパーは、発売と当時に消費者の心をつかんだ。掃除の負担は減らしつつ、「しっかりきれい」が実現できる。人はそれを「床掃除に起きた革命」と呼んだ。

                  ◇

 開発が始まった1987年、一般家庭ではフローリングの床が普及していた。だが、畳やカーペットに比べて綿ぼこりや髪の毛が目立つため、こまめな掃除が必要だ。花王は「立ったままで簡単に掃除できる新しい方法」をコンセプトに知恵を絞った。

 当時の開発担当者が着目したのは、「カーペットに付いた髪の毛やほこりはどうしてなかなか取れないか」だった。導き出した答えは「カーペットで掃除すれば、そこにほこりがくっつくのでは」(柳田浩幸・ホームケア事業グループ開発マネジャー)。逆転の発想が、クイックルワイパー誕生の原動力となった。

 素材として、花王がおむつや生理用品などの衛生用品で使っていた不織布が候補に挙がった。不織布は「織っていない布」のことで、複数の素材を組み合わせて耐久性や吸水性、軽さなど、用途に応じた機能を持たせることができる。開発担当者は、自社の不織布に関する情報を活用するなどして、髪の毛やほこりを吸着するような素材「スパンレース」にたどり着いたのだ。

 モニターの主婦らに提供した試作品は、カメラの三脚の脚を使った柄の先にスポンジを付け、そのスポンジに不織布を巻いたもので見栄えがしなかったという。しかし、“魔法”のようにほこりなどを吸着し、白い不織布は真っ黒になった。評判は上々で、「早く商品化して」との声も寄せられた。

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