【開発物語】花王「クイックルワイパー」 (3/7ページ)

2014.10.20 05:00

店頭に並ぶクイックルワイパー

店頭に並ぶクイックルワイパー【拡大】

  • クイックルワイパーの開発やマーケティングの担当者=東京都中央区の花王本社
  • 今秋から放映されているクイックルワイパーのテレビCM(花王提供)
  • 20年前に発売した当時のクイックルワイパー。柄の部分は組み立て式だった(花王提供)

 94年2月に静岡県内限定で発売したところ、「立ったままで簡単に拭き掃除ができる」など、口コミが徐々に広まり、数カ月後には完売する店も出た。うわさを聞きつけて首都圏から買いに来る人や、まとめ買いする人も現れ、同年10月に全国発売に踏み切った。

 花王の挑戦は、「フロア用掃除用具」という新しい市場を生み出した。一時は模倣品が台頭して苦戦を強いられたこともあった。しかし、ウエットシートや香り付きのシート、さらに小物などを掃除するハンディータイプなど多彩な製品を投入。「いつでも、誰でも、サッと手軽に使える」掃除用具という、ブランドイメージを浸透させていった。

                  ◇

 ■ニーズに応えラインアップ強化

 ≪TEAM≫

 テレビを見ながら、電話をしながらでも、立ったままで楽に拭き掃除ができるクイックルワイパー。発売開始から6年後の2000年度には累計2000万本の販売を達成。その時点での世帯普及率は45%に達する大ヒットとなった。

 ところがこのころから、同製品の模倣品が出回るようになった。中にはパッケージのデザインや製品名がそっくりなものもあり、「クイックルワイパーを買ったのに、まったく汚れが取れないじゃないか」といった苦情が花王に次々と寄せられた。

 「花王の社員が苦情を申し出た家に出かけて、その製品を見せてもらうと、クイックルワイパーという文字がどこにもない模倣品」(柳田浩幸開発マネジャー)が大半だった。花王は道具やシートの構造などで特許を取得していたが、模倣品の多くは品質に大きな違いがあった。

 間違って模倣品を購入してしまう人が多かったため、花王は新聞広告などで、消費者に対し模倣品への注意を呼びかけた。知的財産の部署を中心に販売店の協力を得ながら、海外からの模倣品の流通経路を突き止め、税関当局に対し、輸入差し止めの申請をした。

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