2014.7.29 06:58
新日鉄住金鹿島製鉄所に今年6月、初入港した超大型鉄鉱石運搬船「ヴァーレ・マックス」=茨城県鹿嶋市【拡大】
新日鉄住金が超大型鉄鉱石運搬船の試験受け入れを行い、原料運搬コストの削減を図っている。鉄鉱石の価格は下落傾向にあるが、資源メジャーの寡占化で需給次第では再び高騰する可能性もあり、固定費である運搬コストの低減は必須の課題となっている。
今年6月、茨城県鹿嶋市の新日鉄住金鹿島製鉄所に40万トン級の超大型鉄鉱石運搬船で、ブラジルの資源企業ヴァーレが所有する「ヴァーレ・マックス」が初入港した。「ケープサイズ」と呼ばれる通常の運航船が18万~25万トンなのに比べて、その大きさは明白だ。
原料・機材調達を担当する新日鉄住金の栄敏治常務執行役員は「契約や船の建造時期によって運搬コストは大きく異なり、一概には言えない」と前置きした上で、鉄鉱石1トン当たりの運搬コストは、超大型船を使うことにより、「数ドル単位で下がる」と明かす。40万トン級の船が年4回入港すれば、1ドル下がっただけでも年間で160万ドル(約1億6000万円)のコスト削減につながる計算だ。
同社はこれまで大分、君津製鉄所でも同船を受け入れてきた。大分製鉄所は、水深が30メートルあり、満載状態だと船が水面下に沈む喫水が23メートルにもなる大型船の受け入れが可能だ。君津や鹿島では、大分で荷を降ろし、喫水をやや上げてから受け入れが可能になる。