--なぜ木更津という場所を選んだのか
「決して千葉で探していたわけではなかった。だが、『ap bank』のフェスで、ごみの分別やリサイクルに携わった業者の方が千葉県内の農業法人とご縁があり、サステナブル(環境に大きな負荷を与えず、持続可能)な社会に関心を持って、ここで一緒にやることを誘ってくれた。(木更津は)高度経済成長の開発エリアで、土を掘り返してみると、がれきなどの残土があった。首都圏との距離も近いため乱開発されたエリアだったのだろう。軌道に乗せるのには時間がかかるなとも思ったが、われわれとしては、『この荒れた土地をいろんな意味で循環できるよう、お手伝いをする意義はあるな』と考えた」
--設立から4年。現在の手応えは
「達成感はまだまだだけど、有機野菜や鶏卵などの農産物がいろんなところでいい評価を受けるようになってきたことはうれしい。音楽活動は永遠に続けるけど、これからは、今よりももう少し農業にも時間を割くようにしようと考えている」
【プロフィル】小林武史
こばやし・たけし 山形県立新庄北高出身。音楽プロデューサー。多くの人気アーティストをプロデュースし、30年以上にわたって音楽業界を牽引(けんいん)する一方で、音楽イベントなどを通して環境意識の啓蒙(けいもう)活動を続けている。山形県出身。
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≪イチ押し!≫
■できる限り自然に近い状況で産卵
できる限り自然に近い状況で生産することにこだわった「耕す木更津農場の平飼い卵」。約1400羽のニワトリを約160坪の鶏小屋の中で飼育。自由に歩き回れるように16の部屋に80羽以内に振り分け、ストレスを与えないようにして育てている。
飼料にもこだわり、米を中心に農場で出た野菜くずなどを使用。輸入飼料は一切使っていない。また、一般的には互いに傷つけることを避けるために切ることが多いくちばしを切らず、堅い飼料を与えるため、健康的に育つという。また、卵は洗浄せずにブラッシング。産卵時に殻に付着した体液には雑菌から卵を守る成分があり、これを洗い落とさないことで鮮度を保つ効果があるという。
6個入りで、農場では300円で販売。都内の直売所などでは350円。インターネット販売も行っている。