国土交通省が18日発表した2014年公示地価は、東京、大阪、名古屋の三大都市圏の平均が住宅地、商業地とも6年ぶりに上昇、全国平均も下落幅が大幅に縮小した。安倍政権の経済政策「アベノミクス」による景気回復が期待感から実感を伴う形になりつつある姿が浮き彫りになった。今後は成長を持続して回復を地方に波及させ、一部にある不動産バブル再来の懸念をぬぐえるかが鍵となる。
三大都市圏の中で上昇が際立つのが東京と名古屋で、ともに企業業績の好転が地価を支えている。
東京・丸の内のオフィスビルでは、昨年後半から入居相談が相次いでいる。「便利でステータスの高い場所に移りたい」という要望が増えており、運営する三菱地所は一部で賃料の引き上げに踏み切った。
東京都の商業地は2.3%上昇、上げ幅は都道府県別で全国1位だ。都心部のオフィスの平均空室率は2月で7%と8カ月連続で低下した。景気回復のバロメーターとされるオフィス賃料の本格的な回復は「空室率が5%に下がってから」と不動産協会の木村恵司理事長(三菱地所会長)はみる。