鉄の4分の1の軽さながら10倍の強度がある先端素材「炭素繊維」。最新鋭の航空機に使われるなど用途は着実に増えているが、その需要量を飛躍的に伸ばす鍵とされるのが自動車向けだ。近年は一部の高級車に採用されてはいるものの、量拡大の突破口となる量販車向けへの採用には至っていない。鋼鉄に比べて高い製造コストなど課題はあるものの、素材メーカーは自動車メーカーと共同研究に乗り出すなど、期待は大きい。
熱可塑性に強み
「帝人の一つの大きな核にできると確信を持っている」
1月31日、都内で行われた帝人の新社長発表会見。4月に社長就任予定の鈴木純取締役常務執行役員は、自動車向けの炭素繊維事業に期待感を示した。
同社は、2011年に冷えると固まる熱可塑性樹脂を使用した炭素繊維複合材料の成形技術を確立。熱を加えると固まる主流の熱硬化性樹脂に比べ、焼き固める工程を省けるため、炭素繊維から部材製品への成形加工まで、従来の5分から10分程度かかった時間を大幅に短縮した。