12年には米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)と提携し、松山事業所内に試験施設を稼働。15年以降に量販車への部材や部品としての採用で他社に先駆けることで、炭素繊維市場で世界約4割のトップシェアを持つ東レを追う。
一般的に熱可塑性樹脂を使った炭素繊維は生産コストを抑えられるが、成形しやすくするため樹脂を軟らかくする分、強度面や安全性で不安な部分が残る。一方、熱硬化樹脂の炭素繊維はコストと成形時間がかかるが、衝撃強度が高いとされる。
帝人は熱可塑の量産性やリサイクルのしやすさに将来性があると判断した。鈴木常務は「熱可塑は熱で溶かすことができるので、溶かした後に再利用でき、修理もしやすい」と優位性を強調する。日米で自動車への燃費規制がさらに強化されることも、炭素繊維の採用へ追い風になるとみており、「18~20年の間に炭素繊維採用の自動車がいっぱい走っている」と話す。