だが、北朝鮮の挑発の目的が威嚇にある以上、その一つ一つにいちいち過剰反応するのも健全とは言えない。北朝鮮が繰り広げる化石のような全体主義プロパガンダは、現代日本ではもはやギャグにしかなりえない。日本人拉致事件などの暴挙は忘れてはならないが、チャプリンの「独裁者」が示すように、笑いや風刺は独裁社会に対する有効な武器になる。北のプロパガンダが、もっぱら笑われている現状は、日本のネット社会のある種の「健全さ」を教えてくれる。(磨)
【用語解説】最近の北朝鮮情勢
北朝鮮は3月5日、朝鮮戦争の休戦協定を白紙化する意向を突然表明し、30日には韓国に対し「戦時状況」とする特別声明を発表。さらに、4月9日には「情勢は核戦争前夜」として在韓外国人に退避を勧告するなど、執拗(しつよう)に挑発の段階を上げ続けている。これに対し、日韓など周辺諸国と米国は、ミサイルの迎撃態勢を整えるなど警戒と監視を強めている。