北朝鮮の脅し文句のインフレは今に始まった話ではない。2010年8月に行われた米韓合同軍事演習に対しては「無慈悲な対応の鉄槌(てっつい)を下す」「この世の誰も体験したことのない最も厳しい懲罰」「先軍の銃でことごとく一掃」「本当の戦争の味を見せる」など、語彙の限りを尽くして連日威嚇。言葉だけを見れば、3年後の現在と入れ替えてもまったく違和感はないだろう。
だが、この脅迫の羅列は、必ずしも北朝鮮の意図通りの効果を生んではいないようだ。例えば「北朝鮮 無慈悲」でグーグル検索すると、北の挑発文言を面白おかしくまとめたサイトが多数ヒットする。北朝鮮独特のレトリックは、ネタに貪欲な日本のネット住民によって、珍妙な素材として消費されているのだ。
ある無名のネット掲示板住民は、このレトリックの過剰ぶりが、何かに似ていると指摘した。そう、フランスの新酒ワイン、ボージョレ・ヌーボーに毎年付けられるキャッチコピーだ。