「業績回復が見込めなかった」。1月末に閉店した西武沼津店(静岡県)の担当者は無念さをにじませる。昭和32年の開業以来、半世紀以上も地元に親しまれてきたが、市場縮小の波にあらがえなかった。地方の百貨店は、大丸新長田店(神戸市)やそごう呉店(広島県)が1月末で営業を終了。
2月末には、近鉄松下百貨店(山口県)も閉店した。船井総合研究所の岩崎剛幸上席コンサルタントは「東日本大震災からの反動増を考慮すれば、昨年の全国百貨店の売上高はもっと伸びてもおかしくない」と指摘。平成26年4月からの消費税率アップを控え、「むしろ百貨店業界は崖っぷちを迎えている」(岩崎氏)という。
再編の火種
業態の垣根を越えた競合激化も不安要素だ。24年に全国で開業したショッピングセンターは35施設あり、今年も73カ所で計画されている。運営企業も「大きな成長業態の一つ」(セブン&アイHD)と期待する。