大西社長にとって、婦人服売り場の改装は念願だ。リーマン・ショック以降、費用対効果が見込めないなどとして延期してきたからだ。利益の約8割を生み出す伊勢丹新宿本店につぎ込んだ改装費は90億円。「常にトップを走り続ける店」(大西社長)を目指す。
J・フロントリテイリングは昨年10月、大丸東京店の店舗面積を1・4倍の4万6千平方メートルに増床して改装開業。かき入れ時の昨年12月の入店者数は増床前に比べ30%以上増えた。奥田務会長は「顧客ニーズをとらえた成果」と胸を張る。
高島屋も30年度の日本橋地区の再開発に合わせ、約150億円を投じて東京店の新館をオフィスなども入居する複合ビルに建て替える。商業スペースは現在の5万平方メートルから6万2千平方メートルに増床する予定だ。
地方の兆候
なぜこの時期に改装・増床なのか。業界関係者は「地方経済が厳しい中、都心大型店で稼ぐしかないからだ」と明かす。地方の百貨店は、郊外型ショッピングセンターとの競合や、人口減少などの影響をもろに受ける。