この延長線上として、昨年12月26日には米国の大規模リコールをめぐる集団訴訟で、自動車業界としては過去最大の約940億円にのぼる和解案に合意した。時間をかけて争うよりも、顧客重視の姿勢を示すためとみられる。
デザイン面の変化は、人事面から表れた。ミニバンの初代「エスティマ」などのデザインを担当し、グループの関東自動車工業の執行役員に転身していた福市得雄氏を11年1月に本社の常務役員に就けた。子会社の役員を本社に戻すのは同社としては異例だ。
デザインで海外勢へ対抗、背景に危機感
この結果、「(豊田社長就任以降は)個性を反映しやすい体制になった」(開発部門担当の吉田守孝常務役員)。実際、役員や一般社員の評価がベースとなっていたデザインなどの決定は「チーフエンジニアの思いが強く反映できている」(吉田常務役員)という。