インテルが23年に提唱した薄型軽量のノートパソコンのカテゴリーである「ウルトラブック」をめぐっては、パソコンメーカー各社が開発にしのぎを削っていた。そのコンセプトも、「タブレット機能をどう表現するか」に焦点が当たっており、キーボードとディスプレーをスライドさせるなど、各社がさまざまな工夫を凝らしている。
開発チームが導き出した回答は、360度回転するリングノート式ディスプレーだ。商品開発の会議中に、メンバーの持っていたリング式ノートがヒントになった。パソコンとタブレットの2役をこなすが、「立ったまま簡単に切り替えられること」が、ビジネスパーソンの要望にあったことも、この形状を採用する後押しになった。
このスタイルを実現したのは、水平2軸のヒンジ(ちょうつがい)を協力メーカーと開発したことと、薄くて頑丈な天板の素材を開発したことにある。このうち、天板素材の開発を担当したテクノロジーセンター機構設計チームの松山吉成氏は「やり遂げたときの達成感よりも、重圧や苦労の方が印象に残っている」と振り返る。