そのためESCAPでは新日鉄住金と公益財団法人「地球環境産業技術研究機構」(RITE)がコース50の一環として開発した高性能の化学吸収液をベースに、新日鉄住金エンジニアリングが反応プロセスなどを工夫。その結果、CO2の回収率を90%以上という極めて高い状態に維持したままで、熱エネルギーの消費量を従来の6割以下(CO21トン回収時の蒸気使用量を1トン程度)にまで大幅に削減することに成功したという。
CO2を分離・回収するために吸収液を加熱する温度をこれまでの120度程度から95度程度に低減することに世界で初めて実現した。利用価値が少ない工場で発生する廃熱や低温蒸気を活用しやすくなるうえ、設備の簡素化などを通じ、「CO2の回収コストも従来と比べて4割以上削減できるようになる」(新日鉄住金エンジニアリング)という。
ESCAPで用いる化学吸収液は耐久性にも優れており、9000時間に及ぶ耐久試験でも吸収性能の長期安定性を確認することができた。燃料ガスや燃料排ガスなど、さまざまなガスに適応する工夫も加えられている。