タイ・バンコクとシンガポールを結ぶ「イースト・オリエント急行」も欧州で人気が高く乗客の大半が欧州富裕層が占める。欧州旅行会社がななつ星に注目したのは当然ともいえる。
一方、ななつ星で年間5億円の利益を見込んでいるJR九州にとっても欧州旅行会社のツアー販売申し出は「渡りに船」だった。
ななつ星で「世界最高の列車の旅」を演出したいともくろむ唐池氏は、世界各地の豪華列車を知り尽くした欧州富裕層を誘客すれば、サービスの向上にもつながると考えたようだ。
しかも豪華列車の国際競争に勝ち抜けば、JR九州だけでなく、九州の観光地としてのブランド力も必然的に高まるはずだ。豊かな自然、温泉、食材に恵まれた九州の魅力が海外で広まれば、観光だけでなく地場産業の活性化にも一役買うこともできる。
そのためにも、九州の各自治体には、観光地を個別に宣伝するのではなく、一丸となって「九州ブランド」確立に向けた戦略を練ることが求められる。