そこには同社ならではの事情がある。通販の顧客は女性が多いということだ。この点、男性が育児を経験することで、子供をもった女性社員が働きやすい環境に対する理解を深めてもらうとともに、自らの育児経験を商品開発に生かすこともねらっている。
パパになる人編、上司編…多彩なマニュアルが
男性の育児休暇制度を設けている企業は珍しくない。その内容も各社各様だが、厚生労働省の平成23年度雇用均等基本調査によると、取得率はわずかに2・63%にとどまっている。
制度があるのに取得が進まない理由は、「仕事が忙しくて休めない」「上司に言い出しにくい」というのが大半だ。そこには女性と違い、やはり“遠慮”がある。残念ながら、日本社会ではまだ「男性と育児」は市民権を得ているとはいい難い。
ところが、先の久保さんは「取得するのが当たり前だと思っていました」という。それだけの風土が同社にはあるのだ。
もちろん、自然とそうなったわけではない。育休を取得しやすい職場環境をつくろうと、制度の導入に合わせて、社内の風土改革やサポート体制を考える社内委員会「ハナメゾン」を平成17年に立ち上げ、いわば会社ぐるみでの活動に乗り出した。