米半導体大手クアルコムと次世代パネルの共同開発を決めたシャープ。両社が開発する新型パネルには経営再建中のシャープにとって“虎の子”といわれる液晶技術「IGZO(イグゾー)」が応用される。この新技術で難局の打開を目指すが、IGZOの基本特許は科学技術振興機構(JST)が保有し、韓国サムスン電子などにもライセンス供与。「IGZOは1、2年で陳腐化する」(業界関係者)との指摘もあり、起死回生を図るための「切り札」としてはあまりにも心許ない。
生みの親は東工大教授
IGZOは、シャープが開発した液晶技術の名称のように思われがちだが、実はそうではない。
IGZOとは「インジウム(In)-ガリウム(Ga)-亜鉛(Zn)-酸素(O)」からなるアモルファス酸化物の略称。東京工業大学の細野秀雄教授らが発明した高性能の薄膜トランジスタ(TFT)に使われている透明アモルファス酸化物半導体の一種で、特許は科学技術振興機構(JST)が保有している。