昭和時代に学生生活を送った世代は、レコードはぜいたく品として物品税がかかっていた。物品税は1989年の消費税導入まで続いたため、高価な商品という意識が根付いているためだ。
そのCCCはCD復活に一役買った。2009年12月から往年の人気アーティストの名曲を集めた999円のCD「ザ・ベスト・バリュー999」を展開、これまでに115万枚を売った。タワーレコードも洋楽の名盤などを復刻した1000円の「輸入盤千円生活」を09年3月から展開し、10月には累計販売200万枚を突破した。
CCCの酒井氏は「ベスト盤を聴いたら次はオリジナルの旧作と、CDは1人で3枚から5枚は買うのが普通。市場はまだ掘り起こせるし、DVDも開拓できる」としており、大人市場開拓の熱は続きそうだ。
ただ、中高年向けだけでは限界があり、増勢を維持していくには「洋楽を聴かなくなった」(レコード会社)若年層の開拓が課題。さらに、スマホでのネット配信増加も予想される。CD人気を定着させるには、DVD、コンサート、グッズなど複合的な展開が必要となりそうだ。(藤沢志穂子)