実証実験では熊谷、多治見両市で各6台設置、7月2日から8月末までの約2カ月間稼働状況や商品の提供温度などを調べる。同じ仕組みを温かい飲料を販売する自販機に応用することも可能だ。
日本コカ・コーラで自販機開発担当のフランチャイズオペレーションズベンディング事業部の大谷知也統括部長によると、開発段階では技術面だけでなく、発想の転換が最大の壁となったという。同社が1990年代から始めた自販機の節電では、庫内全体を冷却し続けていた状態から、取り出し口に近い商品のみを部分冷却するという、「部分」面積の縮小に力を入れてきた。
これに対し、庫内全体を集中冷却するという今回のコカ・コーラ側の逆転の発想に富士電機側の技術者は当初戸惑い、自販機を展開する全国のボトラー社も懸念を示した。それでも、真空断熱材を使用する省エネ型冷蔵庫の構造などを参考にしながら試作を繰り返し、納得のいく機械に仕上げていった。
国内の飲料自販機の設置台数は253万500台(日本自動販売機工業会、2011年末)で、日本コカ・コーラはこのうち単一メーカーとして最多の約98万台を保有する。大谷氏は「リーディングカンパニーとして節電技術もリードしていきたい」と話す。(金谷かおり)