日本コカ・コーラによると、自販機1台当たりの消費電力は300ワットと、エアコン(12畳対応)の860ワットより小さいが、冷蔵庫(容量500リットル)の275ワットより大きい。一方で、企業がサマータイムや輪番操業を導入するなど、消費電力のピークタイムをずらすことへの関心が高まっていた。
そこでプロジェクトチームは、消費電力に比較的余裕がある夜間に集中冷却、日中も保冷可能な自販機をテーマに開発に着手。庫内に使用する断熱材をこれまでのウレタンから断熱効果が約10倍に高まるという真空断熱材に変え、1台当たりの使用量を増やし、配置も工夫。消費者が飲料を購入した際、商品が取り出し口まで移動する間の空気の漏れも構造を見直すことで最低限に抑えるなど細かいところまで気を配った。
この結果生まれたA011号機は、午前9時~午後8時を含む最長16時間、気温32度の環境下で冷却運転を停止しても5度以下の冷たい商品を提供でき、日中の消費電力を約17ワットと、従来機より約95%削減することに成功した。
夜間の午後11時~翌午前7時は集中冷却するため消費電力が約450ワットと増えるが、トータルでも消費電力量を約1割削減できる。