技術売却のタブーも
一方で、“門外不出”の技術やノウハウを海外メーカーに売り渡すというタブーをあえて犯す策に打って出たのが、三菱重工業だ。
昨年12月にインドの建設機械大手ラーセン・アンド・トウブロと提携し、設計図などの技術を供与することで合意した。ライセンス収入を得るだけにとどまらず、将来的には合弁事業に発展させ、共同受注によって低コストの海外生産へのの道を開こうという深謀遠慮だ。
だが、経営統合やエコシップ、技術売却も生き残りの決め手にはならない。中韓勢が大量建造のため、造船所を増やし続けてきた一方、海運会社はリーマン前の世界的な好景気に浮かれて大量発注した結果、船舶が有り余っている。供給過剰が一段と強まるのは確実だ。「中国勢の投げ売り受注で船価の下落がさらに加速する」(業界関係者)と懸念されている。
価格競争力で大きく劣る日本勢は、さらに厳しい戦いを強いられる。
国土交通省が昨年7月ニまとめた報告書は造船業の国際競争力強化に向け、「連携や統合が必要」と指摘した。
「われわれの統合に加わろうという会社が増えれば、喜んで受け入れる」
ユニバーサル造船の三島社長は、統合合意会見でこう呼びかけた。
さらなる合従連衡によって、「日の丸造船」を誕生させ、総力を結集できるかが、復活のカギとなる。(今井裕治)