米ラスベガスで13日まで開かれていた世界最大規模の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」。展示の規模や内容で他を圧倒し、最も注目を詰めたのが、韓国が世界に誇る総合電機メーカーのサムスン電子だ。かつては話題の中心にいた日本メーカーは「技術的にも先に行かれた」(大手幹部)とほぞをかむ。強さの秘密はどこにあるのか。付け入るすきはないのか。サムスンを徹底解剖した。
会見場に長蛇の列
CES開幕前日の9日、市内の会議場の前に500メートルも続く長蛇の列ができた。開幕を待ちわびる“徹夜組”ではない。サムスンの記者会見に押し寄せた記者たちだ。1500席が用意されていたが、会場は立ち見であふれた。
異様な熱気に包まれるなか、サムスン米国のティム・バクスター社長らがハリウッドスターのように派手に登場。会見時間45分のうち30分をたっぷりと米グーグルのネットサービスに対応した「スマートテレビ」の説明に費やした。
「スマートテレビでいろいろなコンテンツをつなぐと、生活はシンプルでもっと楽しいものになる」。バクスター社長は、こう胸を張った。
日本勢がまだなしえていない大型有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルを使った「アルティメット(究極の)テレビ」も出展したが、会見では最後にさらりと触れた程度。フルハイビジョンの4倍の解像度を持つ4Kテレビでも東芝が昨年末に発売した55型の上を行く70型を展示したが、会見では紹介すらせず、“層の厚さ”を見せつけた。