【底流】受注残ゼロ「造船2014年問題」 再編&エコシップで復活なるか (2/3ページ)

2012.3.4 07:00

技術力は世界トップ

 「受注残ゼロ」の悪夢が現実味を帯びるなか、JFEとIHIが動いた。両社は08年4月に子会社のユニバーサルとMUの統合交渉に入ったが、その直後のリーマン・ショックでそれどころではなくなり頓挫していた。だが、昨秋にひそかに交渉を再開し、4年間も停滞していた交渉を数カ月でまとめ、今年1月30日に合意を発表した。

 合併後の売上高は約4千億円となり、国内トップの今治造船に迫る。両社は規模のメリットで造船コストの65%を占める材料費を削減し、年100億円規模の効率化効果を目指す。

 狙いは、コスト削減だけではない。ユニバーサルの三島慎次郎社長は「開発陣を手厚くし、得意の省エネ船の開発を強化すれば韓国メーカーとも戦えるようになる」と意気込む。

 両社合わせた開発部門の人員は、計約1500人となり、国内で最も技術力が高いといわれる三菱重工業を上回る。

 波や風の抵抗を受けにく形状で、燃焼効率に優れたエンジンを搭載し、太陽光発電なども活用するエコシップには、釜・造船工業会会長が「世界トップ」と胸を張る技術力のアドバンテージがある。

 国際海事機関(IMO)が、14年1月以降に建造契約が結ばれる400トン以上の国際運航船舶に対し、二酸化炭素(CO2)排出量の最大30%削減を義務づける環境規制の導入を決めたことも追い風だ。

 MUは従来船より燃費性能を30%高めたコンテナ船、ユニバーサルは25%改善した鉄鉱石や石炭を運ぶバルク船の設計を完了。受注残ゼロ回避の切り札と位置付け、売り込んでいる。

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