仙台空港民営化1年、国際線旅客1.7倍に LCC誘致奏功 全国の空港で動き活発化
仙台空港(宮城県)が国管理空港として初めてとなる民営化から1年を迎えた。東京急行電鉄など7社が設立した運営会社の仙台国際空港は着陸料の引き下げや施設サービス拡充などの施策を次々と打ち出し、格安航空会社(LCC)などの誘致が加速して国際線の旅客数が約1.7倍に膨らんだ。仙台空港の成果を受け、全国で空港民営化を目指す動きが活発化しており、地方活性化の効果が期待されている。
「国際線の新規就航などが図れた。今後とも誘致に全力を注ぐ」。仙台国際空港の岩井卓也社長は6月30日、仙台市内で会見を開き、1年間の成果を強調した。
仙台空港は民営化後、観光地などと結ぶ高速バス路線を開設、駐車場予約サービスも始めるなどアクセスを強化。ターミナルビルで利用客が快適に過ごせるよう大手カフェチェーンの店舗を誘致し、地元物産品の販売所の充実も図った。
旅客数などに応じて着陸料が割引される制度も導入。昨年6月からは台湾のLCC・タイガーエア台湾が週4便を運航するほか、今月1日にはスカイマークも神戸線を再開させた。LCC専用棟の整備も計画しており、震災で落ち込んだ年間旅客数を5年間で約90万人増やす目標を掲げる。
仙台空港の民営化後、高松や福岡に加え、北海道でも7空港を一括して民営化することが正式に決まった。
熊本、広島の両空港も民営化の方針で、国土交通省は6月30日、熊本空港(熊本県益城町など)を2020年4月に民営化することを盛り込んだ制度案を公表した。
熊本県は民営化で復興が加速することを期待しており、石井啓一国交相はこの日の記者会見で「先行事例の仙台空港が順調にいっていることで(空港民営化が)積極的に動いている」と評価した。
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